歯周病は、放置すると健康な歯を損なう危険性がある病気でもあります。
早めに治療を開始することが重要ではありますが、それ以前に「歯周病にならないための努力を怠らない」ということも重要です。
そこで今回は、歯周病を予防する方法について解説します。
目次
歯周病とは
まずは、歯周病とはどのような病気であるのかについて解説します。
歯周病の基本
歯周病の原因は、多くの人が持っている「菌」の影響にあります。
口腔内の細菌の多くは親から与えられてしまうものなのですが、そのほとんどは基本的に大きな影響がなければ悪さをすることはありません。
しかし、歯磨きを怠るなど、口腔内の環境が悪化することで悪さをはじめる細菌が多く、歯周病の原因となる細菌もその1つとなります。
「歯の周りの病気」という名前のだけあって、歯周病は原因菌によって歯の周りの歯肉組織に炎症を起こし、最終的に歯そのものに悪影響を及ぼすことが多いのです。
最悪の場合は健康な歯であっても抜け落ちてしまうようなことになり、多くの歯を失ってしまうことにもなりかねません。
歯周病の症状
歯周病になると、さまざまな症状を呈することになります。
とくに、以下の症状を感じるようになる場合は歯周病の症状が進行していると考えたほうが良いでしょう。
- 朝起きたときに口のなかがネバネバする
- 歯みがきのときにとくに出血する
- 食事の際に硬いものが噛みにくい
- 口臭が気になる
- 歯肉がときどき腫れる
- 歯肉が下がって歯と歯の間に隙間ができてきた
- 歯がグラグラする
口臭の悪化は他人から指摘されることもあることから、歯周病の自覚症状のひとつとして知名度が高いことが知られています。
上記のうちの症状がどのくらい出るのかは症状の深さによっても異なりますが、基本的に症状が大きいほど、上記のような症状を感じやすいという特徴があります。
歯周病が進んでしまうと、最終的には健康な歯が抜け落ちてしまう可能性があります。
そのため、健康な歯を守るために歯周病をいかに予防するかが重要になるのです。
歯周病の口臭予防については「歯周病の口臭はどんなにおい?特徴や治し方を解説」で解説しています。
歯周病のリスクを高める要因
以下のような習慣や病気などを持っている方は、歯周病が進行するリスクを高める可能性があります。
- 糖尿病
- 喫煙の習慣がある
- 歯ぎしりや食いしばり、噛みしめの癖がある
- 不適合な冠や義歯がある
- 不規則な食習慣を送っている
- ストレスを溜め込んでいる
- 骨粗しょう症
- ホルモン異常
- 部分的に歯がない
- 両親が若い頃から入れ歯だった
- 口呼吸することが多い
- 免疫力が低下している
必ずしも歯周病のリスクを高めるというわけではありませんが、複数の要因があると歯周病のリスクを高める可能性が大きくなるということを認識しておきましょう。
歯周病の予防方法
歯周病の最大の予防方法は「歯磨き」です。
歯周病の原因とされているのは、口の中に含まれている細菌であり、口臭はこの細菌が発生させる物質が原因とされています。
歯周病を予防するためには原因となる細菌を増殖させないことがポイントです。そのために重要なのが歯磨きなのです。
歯磨きを怠ったりブラッシングが不十分だと、歯周病の原因菌が増殖しやすい環境になります。
歯垢の段階であればまだ通常の歯磨きでも取り除くことができるのですが、歯石になってしまうと簡単に落とすことができなくなってしまい、歯周病が進行してしまいます。
子どもの頃から正しい歯磨きの習慣を身に着けることが、歯周病を予防して健康な歯を守ることにつながります。
歯周病の治し方
歯周病による口臭をしっかりと治す場合、歯科医院において歯周病を治療することが必要です。
歯石除去は歯科医院で
症状と口腔内の状態次第ではありますが、基本的な治療としては口臭の原因となっている口内細菌が巣食っている歯垢や歯石を除去する方針をとることになります。
口腔内のミネラル分と結合して硬くなっている歯石は、通常の歯磨きでは除去することが極めて難しいため、歯科医院で専用の器具を使用して除去することになります。
一時的に歯垢と歯石を取り除いても再発するリスクがありますので、ご自宅での丁寧な歯磨きが歯周病の再発予防には欠かせません。
定期的に歯科医院でチェックを
歯周病をはじめとする口腔内トラブルの予防のためには、定期的に歯科医院に通院して、ご自身の歯や歯茎の状態を定期的にチェックしてもらうことは重要です。
正しく歯磨きできているかの評価を受けるだけでなく、初期段階の虫歯や歯周病を発見することで軽度の治療だけで、症状の悪化を未然に防ぐことができます。
まとめ:歯周病になったら早めに歯科医院で治療を受けよう
歯周病は健康な歯を損なう可能性もあるため、早めに治療を開始して大きな被害を受ける前に回避する必要があります。
歯周病や症状の悪化をふせぐためにも、早めに歯科医院で歯の状態をチェックしてもらうことが重要であり、その後も定期的に歯の状態をチェッしてもらいましょう。
この記事の著者
院長・歯科医師 西本雅英
平成2年
SJCDベーシックコース修了
藤本研修会補綴コース修了
MSPDマイクロスコープコース修了
SJCDマイクロスコープコース修了
平成9年4月
日本歯科審美学会
日本顎咬合学会
日本顕微鏡歯科学会
京阪神咬合臨床研究会