虫歯のことについてネットで調べてみると「C1」といった表記を見ることがあります。
なんとなく「虫歯の進行度のことなのだろう」とイメージできる方も多いのですが、実際にこの数値はどのような意味を持つのでしょうか。
そこで今回は、虫歯の進行度について解説します。
目次
「虫歯のC1」とは何か?
虫歯の診断における「C1」という表記は、簡単に言えば虫歯の進行度合いを表す指標です。
虫歯の進行度合いはC0~C4までの5段階で表記されており、C4が最も虫歯が深刻化している状態であるため、C1と診断された場合はまだ虫歯の初期段階であると言えるでしょう。
ただし、あくまでも「虫歯である」という状態ではありますので、診断された場合は早期に治療を開始して、最低限の身体的および金銭的負担で虫歯を治療してしまうことをおすすめします。
虫歯のC1の状態
次に、虫歯のC1状態だとどのような症状をもたらすのかについて解説します。
C1の症状
虫歯のC1のレベルだと、自覚症状と呼べるような症状を呈することはほとんどありません。
一般的に虫歯の自覚症状としては「冷たいものがしみる」「痛みを感じる」といった症状をイメージされる方が多いですが、C1の時期だとそうした自覚症状を感じることはほとんどないと言って間違いありません。
多くの場合、虫歯はこうした自覚症状を感じてから歯科医院に通院される方が多く、そうした自覚症状はC2以降に発生することが多いため、C1の状態で診断を受けることは難しいかもしれません。
自覚症状での通院が難しいため、虫歯の早期発見には歯科医院での定期検診を受けることが最も効果的です。
C1の見た目の特徴
虫歯のC1のレベルでは痛みなどの自覚症状はほとんどありませんが、歯には少なからず変化が発生します。
C1では虫歯菌が作り出す酸性の物質により歯の表面が溶かされ、歯の表面に薄茶色や灰色などの穴が開くことが多いです。
これらの穴はまだ小さめであるため、外見上は着色や斑点といった見た目に見えることも多いでしょう。
歯科治療の専門家がしっかりとチェックしないと分かりにくいため、歯に詳しくない方では見た目の変化で虫歯であると判断するのは難しいです。
なお、これらの変化により、舌で歯の表面を舐めてみると少しザラザラした感覚を感じるケースもあります。
C1における治療法の選択肢
虫歯のC1時点における治療法としては、「歯を削る」か「歯を削らない」の2つの治療法の選択肢があります。
歯を削る場合は、虫歯の影響を受けている部分を器具で削り、詰め物をして治療します。
まだ虫歯の影響が小さい段階で治療できるため、1~2回の通院で治療が完了するケースが多いです。
歯を削らない場合は、歯にフッ素を塗布するなど、虫歯の進行を抑えて自然に回復するのを期待する治療方針となります。
虫歯の進行を抑えるために、定期的に歯科検診を受けて歯のクリーニングを実施、丁寧な歯磨きを徹底するなどして経過を観察する方針です。
どちらの治療方針を選択するかは患者さんの歯の状態などを判断して、担当医と話し合うことになります。
虫歯の早期治療の重要性と早期発見の方法
虫歯治療に限った話ではありませんが、この手の病気はいかにして重症化する前の段階で病気の存在を発見し、治療を始められるかという点が非常に重要です。
虫歯の場合、症状が進行してC4と診断されるような状態になってしまうと、すでに歯の神経が死んでいるケースが多いため、抜歯をしなければなりません。
健康的な歯を失うことになりますので、C1のように早期の段階で虫歯を発見し、治療を開始することが重要です。
しかしながら、虫歯はC1の段階では自覚症状が乏しく、なかなか早期発見に至りません。
そこで重要なのが「予防歯科」という考え方です。
海外、とくに北欧を中心とするヨーロッパではメジャーな考え方なのですが、日本のように「痛くなったから歯医者に行く」のではなく「虫歯にならないために歯医者に行く」という考え方があります。
虫歯になっていないにもかかわらず歯科医院に通院するのは面倒だと感じるかもしれませんが、予防歯科は定期的に歯科検診を受けることにより歯の健康状態をプロにチェックしてもらい、虫歯などの疾患を早期の段階で発見できるのです。
早期の段階であれば最低限の治療で歯の健康を取り戻すことができ、抜歯治療のように歯を失うリスクを抑えることができます。
定期的に歯科医院で歯の状態を見てもらうことができれば、虫歯もC1のように自覚症状がない早期の段階で発見することができるので、負担を抑えつつ歯の治療を始められます。
まだ日本ではあまり馴染みのない習慣ではありますが、ご自身の歯の健康を思うのであればぜひ定期的に歯科医院で歯の状態をチェックしてもらってください。
まとめ:C1は虫歯の初期段階、発見したらすぐに治療を
虫歯のC1は、虫歯の進行段階では比較的初期に該当しますが、治療が必要な状態ではあります。
自覚症状はほとんどないため自力での発見は難しく、定期的な歯科検診で発見することが重要です。
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この記事の著者
院長・歯科医師 西本雅英
平成2年
SJCDベーシックコース修了
藤本研修会補綴コース修了
MSPDマイクロスコープコース修了
SJCDマイクロスコープコース修了
平成9年4月
日本歯科審美学会
日本顎咬合学会
日本顕微鏡歯科学会
京阪神咬合臨床研究会