歯科治療では、、虫歯を削るなど痛みを伴うイメージのある治療をするケースも多いです。
その際には「麻酔」を使用するケースが多いのですが、麻酔と聞くとあまり馴染みのないことですから、不安を感じる方も多いでしょう。
そこで今回は、歯科治療で使用する麻酔について解説します。
目次
歯科医院で麻酔を使用する意味
歯科治療において麻酔を使用することの基本的な意味は「治療に際して発生する痛みを軽減する」ことです。
歯科治療では、歯や歯茎に痛みを伴う治療を必要とするケースも多く、麻酔をしなければ患者さんに大きな痛みを与えることになります。
治療内容にもよりますが、基本的に我慢が難しいレベルの痛みを伴うことが多く、とくにお子さんの場合だと痛みに耐えられずに治療を継続することが難しくなることも珍しくありません。
そのため、患部を麻痺させることで治療中の痛みを感じなくさせることにより、安全かつスムーズに歯科治療を進めることができます。
また、歯科治療における麻酔は痛みの軽減だけでなく、リラックス効果により精神的に歯科治療を楽に受けていただくために行われるケースもあるのです。
このように、歯科治療における麻酔の使用は、痛みや精神的苦痛を軽減することでスムーズに歯科治療を終わらせる効果が期待できます。
歯科治療で使用される麻酔の種類
歯科治療では、主に以下のような麻酔が使用されます。
表面麻酔
「表面麻酔」は、歯茎に麻酔薬を塗布することで、塗布した部分の感覚を麻痺させて痛みを感じなくさせることができます。
これ自体は歯科治療における痛みの軽減には十分な効果はありませんが、本番用の麻酔を注射する際の痛みを軽減させる効果が期待できるのです。
また、後述する麻酔をするほどではない程度の痛みが発生する可能性がある、歯石除去などの歯科治療において使用されるケースもあります。
浸潤麻酔
「浸潤麻酔」は、治療を必要とする部位に近い歯茎に麻酔薬を注射し、麻痺させて痛みを軽減する麻酔法です。
効果は数時間ほどあり(表面麻酔は数十分ほど)治療に必要な時間は、十分に確保できます。
ただし、治療内容によっては麻酔が切れた後に痛みが生じるケースもありますので、その場合は歯科医院で処方される痛み止めで対応することが多いです。
基本的に治療部位に注射するのですが、この方法で麻酔が効きにくい場合などには「伝達麻酔」という方法が選択されることがあります。
この麻酔法では神経に麻酔を伝達させることで広範囲に麻酔の効果を発生させることができ、治療後の痛みの軽減やそれに伴う痛み止めの使用量の軽減にも寄与します。
精神鎮静麻酔
「精神鎮静麻酔」は、患者さんを麻酔薬によってリラックスさせて、スムーズに歯科治療を進めるために行われる治療法です。
主に2種類の方法があり、1つ目は「吸入鎮静法」と呼ばれる方法となります。
この方法では笑気ガスという気体を患者さんに吸入してもらい、リラックスした状態になってもらうことで歯科治療においてさまざまなメリットをもたらすのです。
歯科治療に恐怖を感じる場合でもリラックスすることで歯科治療の妨げになる行動をとらなくなったり、何らかの疾患がある患者さんの場合だと歯科治療のストレスで健康状態が変化する可能性がありますが、精神麻酔によりそのリスクを抑えられます。
もう一つの方法は「静脈内鎮静法」です。
これは笑気ガスよりも効果の高い鎮静薬を血管に注射することで、より高いリラックス効果を発揮します。
吸入鎮静法では十分な効果が得られない患者さんの場合や、インプラント手術のように大掛かりな治療を行う際に有効であるとされている治療法です。
全身麻酔
「全身麻酔」とは、全身に麻酔の効果を及ぼす治療法です。
一般的に歯科治療では局所麻酔で十分な効果を得られますが、外科手術を伴う矯正治療や、大掛かりな手術を必要とするインプラント治療の場合には、全身麻酔が使用されるケースもあります。
また、小さなお子さんや精神疾患を患っている患者さんの場合のように、歯科治療に協力的ではない患者さんに治療を受けてもらうために、全身麻酔を使用するケースもあります。
あらかじめ検診と検査を受けているなど条件を満たせば、日帰りで全身麻酔を使用した歯科治療を受けることも可能です。
歯科治療での麻酔の安全性
「麻酔」と聞くと、どこか安全性を疑うような不安感を覚える方も多いのではないでしょうか。
たしかに麻酔薬は使い方を誤れば患者さんの健康に大きな悪影響を及ぼす可能性もあります。
しかし、麻酔薬を使用する歯科医師は高いレベルの麻酔の知識と技術を持ち合わせており、患者さんの既往歴などをもとにして安全性の高い麻酔薬の選定を行います。
不安な場合は治療前のカウンセリングで、麻酔の使用についてしっかりと質問しておくとよいでしょう。
まとめ:歯科治療の麻酔は安全に治療を行うために必要なもの
歯科治療の中には痛みを伴うケースも多いので、麻酔の使用は大きな意味を持ちます。
「麻酔をする」ということに対して不安を覚える方も多いでしょうから、その際には不安を解消できるように、事前にしっかりと担当医と話し合って不明な点をなくしておきましょう。
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この記事の著者
院長・歯科医師 西本雅英
平成2年
SJCDベーシックコース修了
藤本研修会補綴コース修了
MSPDマイクロスコープコース修了
SJCDマイクロスコープコース修了
平成9年4月
日本歯科審美学会
日本顎咬合学会
日本顕微鏡歯科学会
京阪神咬合臨床研究会