歯茎から膿が出てきたら大きなショックを受けるでしょうし、どうすればよいのだろうか、と混乱してしまうことでしょう。
今回は、歯茎から膿が出てくる主な原因と、その症状や治療法について解説します。
目次
歯茎から膿が出てくる主な原因
歯を磨いているときに、歯茎から膿が出てくるという場合がありますが、膿が出てくる原因は複数考えられます。
歯周病
まず、歯茎から膿が出てくるという場合、歯周病の可能性が高いと言えるでしょう。
歯周病が進行して、炎症した部分が化膿してしまうと、膿が出てくることがあります。
膿が出てくる状態というのは、歯周病が中度もしくは重度まで進行していることを示しており、放置するのは危険です。
歯科医院を受診して、治療を行う必要があります。
根尖病変(こんせんびょうへん)
根尖病変とは、歯の根っこの先に炎症が起こる病気で、痛みを伴うだけでなく、腫れて歯茎から膿が出ることがあります。
根尖病変は、細菌によって引き起こされるもので、自然治癒することはありません。
治療法には、根管治療があります。
根管治療とは、歯の根っこの部分を綺麗に掃除するというものです。
智歯周囲炎
これは、親しらず周辺の組織が炎症してしまうというものです。
智歯周囲炎の症状としては、歯茎の腫れ・痛みや膿が出る、口を開けにくくなるなどがあります。
20代~30代くらいの比較的若い世代に起こりやすいのが特徴です。
智歯周囲炎の治療には、軽症であれば腫れている部分の洗浄や抗菌薬などを使用する方法があります。
それから、膿が溜まっている場合には、歯茎の部分を切開し、溜まっている膿を取り除くことが必要です。
状況によっては、親知らずの抜歯が必要となる場合もあります。
歯根破折(しこんはせつ)
歯根破折とは、歯根にひびが入る、もしくは割れてしまっているなどの状態です。
歯根破折の場合、その部分から細菌が入り込んでしまい、歯茎が腫れる、膿が出るなどの症状が出ることがあります。
とくに、神経を取った歯の場合には、このような歯根破折が起こりやすくなるため注意が必要です。
歯根破折の治療についてですが、一般的には抜歯となるケースが多くなっています。
ただし、状況によっては抜歯ではなく、歯を残す治療も選択できます。
歯を残せるかどうかについては、その程度や重症化しているかどうか、などによって変わるので、歯科医師の診察が必要となります。
歯茎から膿が出てくる場合はすぐに歯科医院を受診する
歯茎から膿が出てくるという場合には、さまざまな原因が考えられます。
また、原因によって治療方法が異なる点にも注意が必要です。
一般の人が症状などから原因を特定するのは難しいですし、原因にあった適切な治療を行わなければ、状況が悪化して大切な歯を失う可能性が高まります。
そのため、歯茎から膿が出てくるという場合には、できるだけ早く歯科医院を受診するようにしましょう。
歯科医師であれば、症状などから膿が出てくる原因を特定して、適切な治療方法を提案してくれます。
歯茎から膿が出るのは重度の問題が起きている可能性が高い
歯茎から膿が出る状態というのは、かなり重度の問題が起きています。
すぐに治療を行わなければ、上記で紹介したような様々な症状が悪化する可能性があり、大切な歯を失うリスクが高まると言えるでしょう。
そのため必ず、歯科医院を受診して適切な治療を受けることが大切です。
定期的な受診でトラブルを防ぐ
歯磨きなどのセルフケアを行うことは、虫歯などを予防するのに役立ちますし、その他のトラブルを防ぐのにも重要です。
しかし、セルフケアだけでは十分とは言えません。
自覚症状がないが、病気が進行しているというケースもあります。
そのため、セルフケアだけでなく、定期的に歯科医院を受診して、トラブルが起きていないか、などを専門医師にチェックしてもらうのがよいでしょう。
早期に発見できれば、早期治療によって重症化せずに済むケースもあります。
大切な歯を失わないためにも、定期的に歯科医院を受診しましょう。
まとめ
歯茎から膿が出てくる原因は、複数あります。
原因によって治療方法が異なるため、まずは歯科医院を受診して、適切な治療を受けることが大切です。
放置してしまうと、状況が悪化してしまうだけでなく、大切な歯を失う可能性が高まります。
そのため、膿が出たら放置せずに必ず歯科医院を受診しましょう。
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この記事の著者
院長・歯科医師 西本雅英
平成2年
SJCDベーシックコース修了
藤本研修会補綴コース修了
MSPDマイクロスコープコース修了
SJCDマイクロスコープコース修了
平成9年4月
日本歯科審美学会
日本顎咬合学会
日本顕微鏡歯科学会
京阪神咬合臨床研究会