世の中「多いに越したことはない」という言葉もありますが、何もかもにその概念が通用するわけではありません。
「歯磨き」もそうであり、1日に何回も歯磨きをすることは本当に正しいのでしょうか?
また、どのようなタイミングで歯を磨くのが、最も効果的な歯磨きになるのかも知りたいところです。
そこで今回は、歯磨きの正しい回数や、正しいタイミングについて解説します。
目次
■歯磨きの回数に定義はあるのか?
たとえば、国や歯科医師会といった機関・団体が「歯磨きは1日に●回するのが良い」と定めていれば、その回数を順守するのが良いでしょう。
しかし、2022年時点で国や歯科医師会といった団体は、1日の歯磨きの回数について特別な定義を定めているわけではありません。
歯磨きはライフスタイルに依存する
そもそも、1日に何回歯を磨けるかについては、仕事や家事、プライベートなどのライフスタイルに影響されるものですから、厳密な回数を定められていてもそれを順守するのが難しいというケースもあるでしょう。
ただ、歯のプロの目線でいえば、最低でも1日に2回の歯磨きを心がけることで、虫歯や歯周病のリスクを抑えられるのではないかと考えます。
1日2回の歯磨きはどのタイミングがおすすめ?
では、その2回はどのタイミングで実施するべきなのかといえば、1日2回であれば「朝と夜」というタイミングがベストな歯磨きのタイミングであるといえます。
その理由としては、寝ている間というタイミングが、虫歯や歯周病の原因菌が活発に活動しているタイミングであることに由来しているのです。
寝ている間は唾液の分泌が抑えられており、口の中が乾いているため、虫歯などの原因菌が活発に動きやすくなっています。
必然的にこのタイミングに原因菌の活動を放置してしまうと、虫歯や歯周病のリスクが高まるわけです。
そこで、寝る前の夜と、起きた直後の朝という2回のタイミングが、口腔内トラブルのリスクを最大限抑えられる歯磨きのタイミングになります。
歯磨きのベストタイミング
歯磨きの目的は、虫歯や歯周病の原因菌の活動を抑え、口の中を清潔に保つことにあります。
その目的に沿って歯磨きをするとなれば、歯磨きのベストタイミングは「食後」ということになるのです。
虫歯や歯周病の原因菌は、私たちが食べている食べ物を栄養として活動しています。
つまり、私たちは食事によって原因菌の活動をサポートしているともいえるのです。
もちろん、虫歯や歯周病のリスクをそのままにしておくわけにはいきませんから、食事による影響を最小限に抑えるためにも、歯磨きを欠かさないことが重要になります。
そして、原因菌への栄養供給を最小限に抑えて虫歯などのリスクを抑えるためには、食後できるだけすぐに歯を磨くことが重要です。
1日3食(朝食・昼食・夕食)食べている一般的なライフスタイルの場合であれば、「朝食後」「昼食後」「夕食後」という3回のタイミングに加えて、間食や夜食を食べるのであればその食後のタイミングにも歯磨きをすると良いでしょう。
寝る前のタイミングでの歯磨きのメリット
先ほど「食後が歯磨きのベストタイミング」という話をしましたが、それ以外にも「就寝前」というタイミングも、歯磨きをするのに適しているタイミングであるといえます。
仮に、夕食後に歯を磨いて、就寝まで何も食べていないとしても、寝る前の歯磨きには大きな意味があります。
先ほども触れていますが、寝ている間というのは虫歯や歯周病の進行リスクが高まるタイミングでもあるのです。
これは、寝ている間は唾液の分泌が抑えられて口の中が乾きやすいことに由来するのですが、当然ながら寝ている間は歯磨きすることができません。
そこで、唾液の分泌が抑えられる就寝の直前である就寝前のタイミングで歯磨きをしておき、虫歯や歯周病の原因菌の活動を抑えておくことで、就寝中の口腔内トラブルの進行リスクを抑えられるのです。
歯磨きは「習慣化」が重要
歯磨きをすることにおいて最も重要なことは「習慣化」です。
もちろん、ライフスタイルや仕事などの忙しさによって、毎日必ず決まったタイミングで歯磨きをすることができないケースもあるでしょうが、それ以外のケースにおいて毎日決まったタイミングできちんと歯を磨くことが重要になります。
歯磨きは「1回磨けば●日はもつ」ということはなく、毎日きちんと歯を磨くことで虫歯や歯周病のリスクを抑えることが、高齢になっても健康な歯を維持することにつながります。
先ほども触れていますが、どれだけ忙しくても1日最低2回の歯磨きを推奨します。
まとめ:歯磨きに明確な回数はなし、習慣化して虫歯や歯周病を予防しよう
1日当たりの歯磨きの明確な回数は定義されていませんが、最低でも1日2回、可能な限り毎食後必ず歯を磨くことをおすすめします。
就寝中は原因菌の活動が活発になりやすいため、就寝前や起床後はできるだけ歯を磨いて口の中を清潔に保ちましょう。
この記事の著者
院長・歯科医師 西本雅英
平成2年
SJCDベーシックコース修了
藤本研修会補綴コース修了
MSPDマイクロスコープコース修了
SJCDマイクロスコープコース修了
平成9年4月
日本歯科審美学会
日本顎咬合学会
日本顕微鏡歯科学会
京阪神咬合臨床研究会