虫歯の治療などで使用される「銀歯」ですが、その特性を知らないと後悔することもあります。
治療のためとはいえ、特性も知らずに銀歯を使用することはメリットを薄れさせることになるでしょう。
そこで今回は、歯科治療で使用される銀歯のメリット・デメリットについて解説します。
目次
銀歯とは?
銀歯は、実は純銀ではありません。
銀以外にさまざまな金属が配合されている、合金と呼ばれる金属でできています。
虫歯などで歯を削った際に、その補填用に使用されることの多い素材です。子どもの頃に虫歯になり、歯を削った穴の詰め物として銀歯で歯科治療を受けた経験がある方も多いのではないでしょうか。
銀歯のメリット
銀歯には、以下のようなメリットがあります。
保険診療で歯科治療を受けられる
銀歯の最大のメリットといえば「保険診療」が挙げられます。
歯科治療もその多くが保険適用で3割負担での比較的安い治療が受けられますが、審美歯科など一部の歯科治療は保険適用での治療が受けられません。
健康保険は「病気の治療のため」というのが基本原則であり、それ以上の理由を求める場合は保険が適用されないのです。
銀歯での治療は保険が適用されますので、治療費を抑えることができます。
耐久性が高い
銀歯のメリットは他にも「耐久性」の面でも発揮されます。
合金ということは銀歯は金属ですので、かなり固いです。
歯というものは時に固いものも噛むことがありますし、歯同士で嚙み合わせることもあります。
虫歯などの治療で使用される素材の中には、自然の歯よりも耐久性の低い素材のものもあり、噛み合わせなどの問題で欠けてしまうことがあります。
銀歯は耐久性の高い素材なので、長期的に使用していても噛み合わせなどで欠けてしまうことはありません。
長く使用できる素材なので、子どもの頃から銀歯を使用していても、大人になっても使用できるケースが多いのです。
銀歯のデメリット
ですが、銀歯には以下のようなデメリットもあるのです。
金属アレルギーのリスクがある
1つ目のデメリットは、金属アレルギーのリスクについてです。
前述のとおり、銀歯はさまざまな金属による合金で構成されています。
つまるところ、銀歯が金属であることには変わりありません。
人によっては、その金属に対してアレルギー反応を示すことがあります。
そうなれば、銀歯で歯科治療をしても、その銀歯を取り除いて歯科治療をやり直さないといけないため、余計に歯科治療の治療費が発生してしまうことになります。
見た目に問題がある
2つ目のデメリットは、銀歯の見た目に問題があることです。
「銀歯」というくらいですから、見た目は完全に銀色、金属の色をしています。
そのため、白い歯とは全く異なる色をしているのです。
奥歯であれば他人からは見えにくいかもしれませんが、それでも見えてしまうリスクは少なくありません。
これは「セラミック」での治療との大きな違いであり、自然な白い歯と近い色をしているセラミックであれば白い歯との親和性があるのに対して、銀歯では明らかな不自然さが出てしまうことは避けられません。
歯茎が変色する可能性がある
銀歯の3つ目のデメリットは、銀歯にすることで近くの歯茎が変色してしまう可能性があることです。
銀歯は錆びやすいので、少しずつ銀歯の金属が溶け出してしまい、歯ぐきの色が変わってしまうことがあります。
これを「メタルタトゥー」といい、こうなってしまうと表面の歯茎をピーリングで剥がすしか歯茎の色を戻す方法はありません。
メタルタトゥーの治療では薬剤やレーザーで歯茎の表層を剥がしますが、銀歯を他の素材に変えなければ再発する可能性があります。
そうなると、余計に歯科治療の治療費がかかりますし、その場合は大半が保険適用外治療になりますので、多額の治療費がかかることになるでしょう。
銀歯の下が虫歯になる可能性がある
銀歯の4つ目のデメリットは、銀歯で治療した歯が再び虫歯になってしまうリスクがあるということです。
前述のとおり銀歯は金属なので、噛む力によって少しずつ変形します。
そのため、銀歯を装着してから時間がたつと、銀歯と歯の間に隙間が生じてしまって、その隙間に歯垢が溜まりやすくなってしまうのです。
また、見た目にも虫歯がわかりにくいため、虫歯が進行して重症化しやすくなってしまいます。
銀歯は歯垢ケアが難しいため、同じ歯がもう一度虫歯になってしまう可能性が高いです。この、治療した歯がまた虫歯になってしまうことを「二次カリエス」といい、せっかく治療した虫歯が再発してしまうと再び歯科医院に通院しなければならなくなります。再度治療をし直すとなると治療費がかさみますし、面倒に感じることでしょう。
まとめ:特性を知ったうえで銀歯を利用しよう
銀歯は安く歯科治療ができるメリットがありますが、さまざまなデメリットもあることを理解しなければなりません。
それらのデメリットも理解し、セラミックなどの他の治療法もあることを理解したうえで、治療法を選択してください。
この記事の著者
院長・歯科医師 西本雅英
平成2年
SJCDベーシックコース修了
藤本研修会補綴コース修了
MSPDマイクロスコープコース修了
SJCDマイクロスコープコース修了
平成9年4月
日本歯科審美学会
日本顎咬合学会
日本顕微鏡歯科学会
京阪神咬合臨床研究会